「子どもの将来のために、お金を準備してあげたい」
子どもが生まれると、多くの家庭で教育費について考えるようになります。幼稚園や保育園、小学校、中学校、高校、そして大学。成長するにつれて必要になるお金は少なくありません。
一方で、子育て世代は住宅ローンや日々の生活費、保険、老後資金など、子どもの教育費以外にも考えなければならないお金がたくさんあります。
「毎月何万円も教育費として貯めるのは難しい」
そんな家庭にとって、一つの選択肢になるのが、2027年から始まる予定の「こどもNISA」です。
こどもNISAという言葉を聞くと、「投資だから難しそう」「まとまったお金が必要なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、必ずしも大きなお金から始める必要はありません。
例えば、毎月5,000円。
一見すると小さな金額に感じますが、子どもが小さいうちから長い時間をかけて積み立てれば、将来の教育資金や子どものためのお金を準備する一つの方法になります。
今回は、「毎月5,000円」という無理のない金額をこどもNISAでどのように活用するのかについて考えてみます。
こどもNISAとは?
まず、こどもNISAについて簡単に確認しておきましょう。
現在のNISAは、基本的に18歳以上が対象となっています。しかし、2026年度税制改正の大綱では、2027年1月以降、つみたて投資枠の対象年齢を0~17歳まで拡大することが示されています。
0~17歳の期間について、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円とされる予定です。
つまり、子どもが0歳のときから将来に向けて資産形成を始めることができるようになります。
NISAの大きなメリットは、投資によって得られた利益が非課税になることです。
通常、投資で利益が出た場合には税金がかかります。しかし、NISAの対象となる投資については、制度の範囲内で運用益を非課税にできます。
もちろん、投資なので元本が保証されるわけではありません。値上がりすることもあれば、値下がりすることもあります。
だからこそ、こどもNISAを利用する場合には、「短期間でお金を増やす」という考え方ではなく、「長い時間を使って少しずつ資産を育てる」という考え方が重要になります。
月5,000円なら始めやすい
では、実際に毎月5,000円を積み立てるとどうなるのでしょうか。
毎月5,000円なら、1年間で6万円です。
5,000円×12か月=6万円。
これを18年間続けると、
6万円×18年=108万円。
運用せず、単純に貯金した場合でも108万円になります。
子どもが0歳のときから高校卒業までの18年間、毎月5,000円を積み立てるだけでも、100万円を超える資金を準備できることになります。
ここに投資による運用益が加われば、さらに大きな金額になる可能性があります。
例えば、年3%で運用できたと仮定すると、18年間の積立額は約143万円になります。
年5%なら約175万円です。
ただし、これはあくまでも一定の利回りで運用できたと仮定した場合の試算です。実際の投資では価格が上下するため、必ずこの金額になるわけではありません。
むしろ大切なのは、「毎月5,000円でも18年間という時間を使える」という点です。
投資では、まとまった大金を一度に投資することだけが方法ではありません。
少額でも長期間にわたって積み立てることで、資産形成につなげることができます。
5,000円を「教育費の全部」にしない
こどもNISAを利用するときに注意したいのが、「教育費は全部投資で準備しよう」と考えないことです。
大学入学など、使う時期が決まっているお金については、投資だけに頼るのは危険です。
例えば、子どもが18歳になるときに大学入学資金として使う予定のお金を、すべて株式などの価格変動する資産で運用していたとします。
18歳になる直前に相場が大きく下落してしまったら、必要なタイミングで資産が大きく減っている可能性があります。
そのため、教育費については、預貯金などの安全性を重視する資金と、長期運用を目的とする投資資金を分けて考えることが大切です。
例えば、
「毎月の教育費貯金とは別に、5,000円だけこどもNISAで積み立てる」
という方法です。
これなら、こどもNISAの資産が値下がりしたとしても、家計全体への影響を抑えやすくなります。
5,000円という金額には、「投資を始めやすい」というメリットだけではありません。
「無理をしない」という意味でも大きな意味があります。
5,000円の使い道① 大学資金
こどもNISAの使い道として最初に考えやすいのが、大学などの進学資金です。
大学進学では、入学金や授業料だけでなく、受験料、教材費、パソコン代、通学費、一人暮らしをする場合には住居費など、さまざまな費用が必要になります。
そこで、こどもNISAで準備したお金を、将来の大学資金の一部として活用する方法があります。
例えば、毎月5,000円を18年間積み立てます。
元本は108万円。
仮に運用によって資産が増えていれば、教育資金の負担を軽くすることができます。
ここで重要なのは、「こどもNISAだけで大学費用を全部準備する」という考え方ではありません。
預貯金、学資保険、児童手当、家計からの教育費など、さまざまな方法を組み合わせ、その一部をこどもNISAで準備するという考え方です。
「教育費の一部を投資で準備する」
これくらいの距離感で考えると、こどもNISAを利用しやすくなります。
5,000円の使い道② 子どもの経験に使う
こどもNISAで準備したお金は、必ずしも大学費用だけに使う必要はありません。
子どもが成長したときに、
「海外留学をしてみたい」
「専門的な資格を取りたい」
「プログラミングを勉強したい」
「音楽やスポーツを本格的に学びたい」
という夢を持つかもしれません。
子どもが小さいうちは、将来どんな道を選ぶのか分かりません。
だからこそ、用途を一つに決めすぎず、「子どもの将来の選択肢を広げるためのお金」として準備しておくのも良いでしょう。
毎月5,000円を積み立てることは、単純にお金を増やすだけではありません。
将来、子どもが何かに挑戦したいと思ったときに、「お金がないから諦める」という状況を少しでも減らすための準備にもなるのです。
5,000円の使い道③ お金の教育にする
こどもNISAには、もう一つ面白い使い方があります。
それは、「子どもの金融教育」に活用することです。
子どもが小さいうちは、投資について詳しく説明する必要はありません。
「毎月5,000円を積み立てているよ」
「このお金は将来のあなたのためのお金だよ」
というところから始めてもいいでしょう。
子どもが大きくなったら、
「株って何?」
「どうしてお金が増えたり減ったりするの?」
「会社はどうして株を発行するの?」
「投資と貯金は何が違うの?」
といったことを一緒に考えていくことができます。
これは、単なる資産形成以上の価値があります。
学校では金融について学ぶ機会が増えてきましたが、家庭で実際のお金について話すことも大切です。
こどもNISAをきっかけに、親子でお金について話す習慣を作る。
これも、こどもNISAの有効な使い方の一つだと思います。
投資先はどう考える?
では、毎月5,000円を実際に何に投資すればいいのでしょうか。
ここは慎重に考える必要があります。
こどもNISAでは、つみたて投資枠を利用することになります。具体的な対象商品については制度開始時の最新情報を確認する必要があります。
金融庁のNISA制度では、長期・積立・分散投資を資産形成の基本的な考え方として案内しています。
そのため、初心者が考える場合には、「一つの会社の株に集中して投資する」という方法よりも、幅広い資産に分散して投資できる投資信託などを検討するという考え方があります。
例えば、世界中の企業に分散して投資するタイプの商品なら、一つの国や会社の値動きだけに左右されにくくなります。
ただし、分散したからといって損をしないわけではありません。
投資には必ずリスクがあります。
大切なのは、「何に投資するか」だけではなく、「いつまで運用するのか」「どれくらいの値下がりなら耐えられるのか」を考えることです。
月5,000円を続けるコツ
投資で一番難しいのは、「始めること」よりも「続けること」かもしれません。
最初はやる気があっても、相場が下落すると不安になります。
「今はやめたほうがいいのでは?」
「もっと下がる前に売ったほうがいいのでは?」
と思ってしまうこともあります。
しかし、長期積立をするのであれば、短期的な値動きに一喜一憂しすぎないことが重要です。
例えば、毎月5,000円を自動的に積み立てる設定にしておけば、「今月はどうしよう」と毎回判断する必要がありません。
家計の中に最初から5,000円を組み込んでしまう。
これが継続のポイントです。
「余ったら投資する」のではなく、「先に5,000円を確保する」。
ただし、生活費や緊急時のお金を削ってまで投資する必要はありません。
家計に余裕がある範囲で、無理なく続けることが大切です。
5,000円から始めて、あとから増やす
最初から毎月3万円、5万円と大きな金額を投資する必要はありません。
まずは5,000円。
これで十分です。
子どもが成長すると、保育料や教育費など家計の状況も変わってきます。
そのときに家計に余裕ができれば、5,000円を1万円に増やすことを検討すればいいでしょう。
逆に、家計が苦しくなった場合には、無理をしないことも大切です。
資産形成はマラソンに似ています。
最初から全力で走るのではなく、長く続けられるペースを見つけることが重要です。
「5,000円」という金額に意味がある
月5,000円という金額は、大きな資産を一気に作るための金額ではありません。
しかし、資産形成を始めるきっかけとしては十分な金額です。
毎月5,000円。
年間6万円。
10年間で60万円。
18年間なら元本108万円。
そして、そこに投資による運用益が加わる可能性があります。
もちろん、投資なので元本割れすることもあります。
それでも、子どもが小さいうちから始める最大のメリットは、「時間」を使えることです。
18年という時間があれば、短期的な値動きに左右されず、長期で資産形成を考えることができます。
だからこそ、こどもNISAは「大きなお金を持っている家庭のための制度」ではありません。
むしろ、毎月少しずつでも将来に向けて準備したい家庭にとって、検討する価値のある制度だといえます。
まとめ
こどもの将来のためにお金を準備する。
そう考えると、「毎月何万円も貯めなければいけない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、大切なのは金額の大きさだけではありません。
毎月5,000円でも、早く始めて長く続けることで、将来の大きな資金につながる可能性があります。
こどもNISAの活用方法としては、
第一に、大学などの教育費の一部として準備する。
第二に、留学や資格取得など、子どもの将来の挑戦を支える資金にする。
第三に、親子でお金について学ぶ金融教育のきっかけにする。
この3つを意識すると、こどもNISAを単なる「投資の制度」としてではなく、「子どもの未来を準備する仕組み」として考えられるようになります。
毎月5,000円という金額は、決して大きくありません。
でも、5,000円を積み立てるという行動を18年間続けることには、大きな意味があります。
子どもが0歳なら、18年後には18歳。
今は小さな手を握っている子どもが、18年後には自分の進路を自分で考える年齢になります。
そのときに、
「あなたが生まれたときから、少しずつ準備してきたお金だよ」
と渡せる資産があれば、それは金額以上の価値を持つのではないでしょうか。
こどもNISAを始める目的は、「投資で大きく儲けること」ではありません。
子どもの未来の選択肢を少しでも増やすこと。
そして、親自身もお金について考えるきっかけを作ること。
そのために、まずは無理のない5,000円から始めてみる。
それが、こどもNISAを有効活用するための一つの方法です。
